士師記1-3 ; ルカ4:1-30

士師記

第1章

1:1ヨシュアが死んだ後、イスラエルの人々は主に問うて言った、「わたしたちのうち、だれが先に攻め上って、カナンびとと戦いましょうか」。1:2主は言われた、「ユダが上るべきである。わたしはこの国を彼の手にわたした」。1:3ユダはその兄弟シメオンに言った、「わたしと一緒に、わたしに割り当てられた領地へ上って行って、カナンびとと戦ってください。そうすればわたしもあなたと一緒に、あなたに割り当てられた領地へ行きましょう」。そこでシメオンは彼と一緒に行った。1:4ユダが上って行くと、主は彼らの手にカナンびととペリジびととをわたされたので、彼らはベゼクで一万人を撃ち破り、1:5またベゼクでアドニベゼクに会い、彼と戦ってカナンびととペリジびととを撃ち破った。1:6アドニベゼクは逃げたが、彼らはそのあとを追って彼を捕え、その手足の親指を切り放った。1:7アドニベゼクは言った、「かつて七十人の王たちが手足の親指を切られて、わたしの食卓の下で、くずを拾ったことがあったが、神はわたしがしたように、わたしに報いられたのだ」。人々は彼をエルサレムへ連れて行ったが、彼はそこで死んだ。
1:8ユダの人々はエルサレムを攻めて、これを取り、つるぎをもってこれを撃ち、町に火を放った。1:9その後、ユダの人々は山地とネゲブと平地に住んでいるカナンびとと戦うために下ったが、1:10ユダはまずヘブロンに住んでいるカナンびとを攻めて、セシャイとアヒマンとタルマイを撃ち破った。ヘブロンのもとの名はキリアテ・アルバであった。
1:11またそこから進んでデビルの住民を攻めた。(デビルのもとの名はキリアテ・セペルであった。)1:12時にカレブは言った、「キリアテ・セペルを撃って、これを取る者には、わたしの娘アクサを妻として与えるであろう」。1:13カレブの弟ケナズの子オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを妻として彼に与えた。1:14アクサは行くとき彼女の父に畑を求めることを夫にすすめられたので、アクサがろばから降りると、カレブは彼女に言った、「あなたは何を望むのか」。1:15アクサは彼に言った、「わたしに贈り物をください。あなたはわたしをネゲブの地へやられるのですから、泉をもください」。それでカレブは上の泉と下の泉とを彼女に与えた。
1:16モーセのしゅうとであるケニびとの子孫はユダの人々と共に、しゅろの町からアラドに近いネゲブにあるユダの野に上ってきて、アマレクびとと共に住んだ。1:17そしてユダはその兄弟シメオンと共に行って、ゼパテに住んでいたカナンびとを撃ち、それをことごとく滅ぼした。これによってその町の名はホルマと呼ばれた。1:18ユダはまたガザとその地域、アシケロンとその地域、エクロンとその地域を取った。1:19主がユダと共におられたので、ユダはついに山地を手に入れたが、平地に住んでいた民は鉄の戦車をもっていたので、これを追い出すことができなかった。1:20人々はモーセがかつて言ったように、ヘブロンをカレブに与えたので、カレブはその所からアナクの三人の子を追い出した。1:21ベニヤミンの人々はエルサレムに住んでいたエブスびとを追い出さなかったので、エブスびとは今日までベニヤミンの人々と共にエルサレムに住んでいる。
1:22ヨセフの一族はまたベテルに攻め上ったが、主は彼らと共におられた。1:23すなわちヨセフの一族は人をやってベテルを探らせた。この町のもとの名はルズであった。1:24その斥候たちは町から出てきた人を見て、言った、「どうぞこの町にはいる道を教えてください。そうすればわたしたちはあなたに恵みを施しましょう」。1:25彼が町にはいる道を教えたので、彼らはつるぎをもって町を撃った。しかし、かの人とその家族は自由に去らせた。1:26その人はヘテびとの地に行って町を建て、それをルズと名づけた。これは今日までその名である。
1:27マナセはベテシャンとその村里の住民、タアナクとその村里の住民、ドルとその村里の住民、イブレアムとその村里の住民、メギドとその村里の住民を追い出さなかったので、カナンびとは引き続いてその地に住んでいたが、1:28イスラエルは強くなったとき、カナンびとを強制労働に服させ、彼らをことごとくは追い出さなかった。
1:29またエフライムはゲゼルに住んでいたカナンびとを追い出さなかったので、カナンびとはゲゼルにおいて彼らのうちに住んでいた。
1:30ゼブルンはキテロンの住民およびナハラルの住民を追い出さなかったので、カナンびとは彼らのうちに住んで強制労働に服した。
1:31アセルはアッコの住民およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの住民を追い出さなかったので、1:32アセルびとは、その地の住民であるカナンびとのうちに住んでいた。彼らが追い出さなかったからである。
1:33ナフタリはベテシメシの住民およびベテアナテの住民を追い出さずに、その地の住民であるカナンびとのうちに住んでいた。しかしベテシメシとベテアナテの住民は、ついに彼らの強制労働に服した。
1:34アモリびとはダンの人々を山地に追い込んで平地に下ることを許さなかった。1:35アモリびとは引き続いてハルヘレス、アヤロン、シャラビムに住んでいたが、ヨセフの一族の手が強くなったので、彼らは強制労働に服した。1:36アモリびとの境はアクラビムの坂からセラを経て上の方に及んだ。

第2章

2:1主の使がギルガルからボキムに上って言った、「わたしはあなたがたをエジプトから上らせて、あなたがたの先祖に誓った地に連れてきて、言った、『わたしはあなたと結んだ契約を決して破ることはない。2:2あなたがたはこの国の住民と契約を結んではならない。彼らの祭壇をこぼたなければならない』と。しかし、あなたがたはわたしの命令に従わなかった。あなたがたは、なんということをしたのか。2:3それでわたしは言う、『わたしはあなたがたの前から彼らを追い払わないであろう。彼らはかえってあなたがたの敵となり、彼らの神々はあなたがたのわなとなるであろう』と」。2:4主の使がこれらの言葉をイスラエルのすべての人々に告げたので、民は声をあげて泣いた。2:5それでその所の名をボキムと呼んだ。そして彼らはその所で主に犠牲をささげた。
2:6ヨシュアが民を去らせたので、イスラエルの人々はおのおのその領地へ行って土地を獲た。2:7民はヨシュアの在世中も、またヨシュアのあとに生き残った長老たち、すなわち主がかつてイスラエルのために行われたすべての大いなるわざを見た人々の在世中も主に仕えた。2:8こうして主のしもべヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。2:9人々は彼をエフライムの山地のガアシ山の北のテムナテ・ヘレスにある彼の領地内に葬った。2:10そしてその時代の者もまたことごとくその先祖たちのもとにあつめられた。その後ほかの時代が起ったが、これは主を知らず、また主がイスラエルのために行われたわざをも知らなかった。
2:11イスラエルの人々は主の前に悪を行い、もろもろのバアルに仕え、2:12かつてエジプトの地から彼らを導き出された先祖たちの神、主を捨てて、ほかの神々すなわち周囲にある国民の神々に従い、それにひざまずいて、主の怒りをひき起した。2:13すなわち彼らは主を捨てて、バアルとアシタロテに仕えたので、2:14主の怒りがイスラエルに対して燃え、かすめ奪う者の手にわたして、かすめ奪わせ、かつ周囲のもろもろの敵の手に売られたので、彼らは再びその敵に立ち向かうことができなかった。2:15彼らがどこへ行っても、主の手は彼らに災をした。これは主がかつて言われ、また主が彼らに誓われたとおりで、彼らはひどく悩んだ。
2:16その時、主はさばきづかさを起して、彼らをかすめ奪う者の手から救い出された。2:17しかし彼らはそのさばきづかさにも従わず、かえってほかの神々を慕ってそれと姦淫を行い、それにひざまずき、先祖たちが主の命令に従って歩んだ道を、いちはやく離れ去って、そのようには行わなかった。2:18主が彼らのためにさばきづかさを起されたとき、そのさばきづかさの在世中、主はさばきづかさと共におられて、彼らを敵の手から救い出された。これは彼らが自分をしえたげ悩ました者のゆえに、うめき悲しんだので、主が彼らをあわれまれたからである。2:19しかしさばきづかさが死ぬと、彼らはそむいて、先祖たちにまさって悪を行い、ほかの神々に従ってそれに仕え、それにひざまずいてそのおこないをやめず、かたくなな道を離れなかった。2:20それで主はイスラエルに対し激しく怒って言われた、「この民はわたしがかつて先祖たちに命じた契約を犯し、わたしの命令に従わないゆえ、2:21わたしもまたヨシュアが死んだときに残しておいた国民を、この後、彼らの前から追い払わないであろう。2:22これはイスラエルが、先祖たちの守ったように主の道を守ってそれに歩むかどうかをわたしが試みるためである」。2:23それゆえ主はこれらの国民を急いで追い払わずに残しておいて、ヨシュアの手にわたされなかったのである。

第3章

3:1すべてカナンのもろもろの戦争を知らないイスラエルの人々を試みるために、主が残しておかれた国民は次のとおりである。3:2これはただイスラエルの代々の子孫、特にまだ戦争を知らないものに、それを教え知らせるためである。3:3すなわちペリシテびとの五人の君たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン山に住んで、バアル・ヘルモン山からハマテの入口までを占めていたヒビびとなどであって、3:4これらをもってイスラエルを試み、主がモーセによって先祖たちに命じられた命令に、彼らが従うかどうかを知ろうとされたのである。3:5しかるにイスラエルの人々はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに住んで、3:6彼らの娘を妻にめとり、また自分たちの娘を彼らのむすこに与えて、彼らの神々に仕えた。
3:7こうしてイスラエルの人々は主の前に悪を行い、自分たちの神、主を忘れて、バアルおよびアシラに仕えた。3:8そこで主はイスラエルに対して激しく怒り、彼らをメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムの手に売りわたされたので、イスラエルの人々は八年の間、クシャン・リシャタイムに仕えた。3:9しかし、イスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主はイスラエルの人々のために、ひとりの救助者を起して彼らを救われた。すなわちカレブの弟、ケナズの子オテニエルである。3:10主の霊がオテニエルに臨んだので、彼はイスラエルをさばいた。彼が戦いに出ると、主はメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムをその手にわたされたので、オテニエルの手はクシャン・リシャタイムに勝ち、3:11国は四十年のあいだ太平であった。ケナズの子オテニエルはついに死んだ。
3:12イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなった。すなわち彼らが主の前に悪をおこなったので、主はモアブの王エグロンを強めて、イスラエルに敵対させられた。3:13エグロンはアンモンおよびアマレクの人々を集め、きてイスラエルを撃ち、しゅろの町を占領した。3:14こうしてイスラエルの人々は十八年の間モアブの王エグロンに仕えた。
3:15しかしイスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主は彼らのために、ひとりの救助者を起された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの子、左ききのエホデである。イスラエルの人々は彼によってモアブの王エグロンに、みつぎ物を送った。3:16エホデは長さ一キュビトのもろ刃のつるぎを作らせ、それを衣の下、右のももの上に帯びて、3:17モアブの王エグロンにみつぎ物をもってきた。エグロンは非常に肥えた人であった。3:18エホデがみつぎ物をささげ終ったとき、彼はみつぎ物をになってきた民を帰らせ、3:19かれ自身はギルガルに近い石像のある所から引きかえして言った、「王よ、わたしはあなたに申しあげる機密をもっています」。そこで王は「さがっておれ」と言ったので、かたわらに立っている者は皆出て行った。3:20エホデが王のところにはいって来ると、王はひとりで涼みの高殿に座していたので、エホデが「わたしは神の命によってあなたに申しあげることがあります」と言うと、王は座から立ちあがった。3:21そのときエホデは左の手を伸ばし、右のももからつるぎをとって王の腹を刺した。3:22つるぎのつかも刃と共にはいったが、つるぎを腹から抜き出さなかったので、脂肪が刃をふさいだ。そして汚物が出た。3:23エホデは廊下に出て、王のおる高殿の戸を閉じ、錠をおろした。
3:24彼が出た後、王のしもべどもがきて、高殿の戸に錠のおろされてあるのを見て、「王はきっと涼み殿のへやで足をおおっておられるのだ」と思った。3:25しもべどもは長いあいだ待っていたが、王がなお高殿の戸を開かないので、心配してかぎをとって開いて見ると、王は床にたおれて死んでいた。
3:26エホデは彼らのためらうまに、のがれて石像のある所を過ぎ、セイラに逃げていった。3:27彼が行ってエフライムの山地にラッパを吹き鳴らしたので、イスラエルの人々は彼と共に山地から下ってエホデに従った。3:28エホデは彼らに言った、「わたしについてきなさい。主はあなたがたの敵モアブびとをあなたがたの手にわたされます」。そこで彼らはエホデに従って下り、ヨルダンの渡し場をおさえ、モアブびとをひとりも渡らせなかった。3:29そのとき彼らはモアブびとおおよそ一万人を殺した。これはいずれも肥え太った勇士であって、ひとりも、のがれた者がなかった。3:30こうしてモアブはその日イスラエルの手に服し、国は八十年のあいだ太平であった。
3:31エホデの後、アナテの子シャムガルが起り、牛のむちをもってペリシテびと六百人を殺した。この人もまたイスラエルを救った。


ルカ

第4章

4:1さて、イエスは聖霊に満ちてヨルダン川から帰り、4:2荒野を四十日のあいだ御霊にひきまわされて、悪魔の試みにあわれた。そのあいだ何も食べず、その日数がつきると、空腹になられた。4:3そこで悪魔が言った、「もしあなたが神の子であるなら、この石に、パンになれと命じてごらんなさい」。4:4イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」。4:5それから、悪魔はイエスを高い所へ連れて行き、またたくまに世界のすべての国々を見せて4:6言った、「これらの国々の権威と栄華とをみんな、あなたにあげましょう。それらはわたしに任せられていて、だれでも好きな人にあげてよいのですから。4:7それで、もしあなたがわたしの前にひざまずくなら、これを全部あなたのものにしてあげましょう」。4:8イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。4:9それから悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、宮の頂上に立たせて言った、「もしあなたが神の子であるなら、ここから下へ飛びおりてごらんなさい。4:10『神はあなたのために、御使たちに命じてあなたを守らせるであろう』とあり、4:11また、『あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう』とも書いてあります」。4:12イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』と言われている」。4:13悪魔はあらゆる試みをしつくして、一時イエスを離れた。
4:14それからイエスは御霊の力に満ちあふれてガリラヤへ帰られると、そのうわさがその地方全体にひろまった。4:15イエスは諸会堂で教え、みんなの者から尊敬をお受けになった。
4:16それからお育ちになったナザレに行き、安息日にいつものように会堂にはいり、聖書を朗読しようとして立たれた。4:17すると預言者イザヤの書が手渡されたので、その書を開いて、こう書いてある所を出された、
4:18「主の御霊がわたしに宿っている。
貧しい人々に福音を宣べ伝えさせるために、
わたしを聖別してくださったからである。
主はわたしをつかわして、
囚人が解放され、盲人の目が開かれることを告げ知らせ、
打ちひしがれている者に自由を得させ、
4:19主のめぐみの年を告げ知らせるのである」。
4:20イエスは聖書を巻いて係りの者に返し、席に着かれると、会堂にいるみんなの者の目がイエスに注がれた。4:21そこでイエスは、「この聖句は、あなたがたが耳にしたこの日に成就した」と説きはじめられた。4:22すると、彼らはみなイエスをほめ、またその口から出て来るめぐみの言葉に感嘆して言った、「この人はヨセフの子ではないか」。4:23そこで彼らに言われた、「あなたがたは、きっと『医者よ、自分自身をいやせ』ということわざを引いて、カペナウムで行われたと聞いていた事を、あなたの郷里のこの地でもしてくれ、と言うであろう」。4:24それから言われた、「よく言っておく。預言者は、自分の郷里では歓迎されないものである。4:25よく聞いておきなさい。エリヤの時代に、三年六か月にわたって天が閉じ、イスラエル全土に大ききんがあった際、そこには多くのやもめがいたのに、4:26エリヤはそのうちのだれにもつかわされないで、ただシドンのサレプタにいるひとりのやもめにだけつかわされた。4:27また預言者エリシャの時代に、イスラエルには多くのらい病人がいたのに、そのうちのひとりもきよめられないで、ただシリヤのナアマンだけがきよめられた」。4:28会堂にいた者たちはこれを聞いて、みな憤りに満ち、4:29立ち上がってイエスを町の外へ追い出し、その町が建っている丘のがけまでひっぱって行って、突き落そうとした。4:30しかし、イエスは彼らのまん中を通り抜けて、去って行かれた。


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